小児足関節捻挫(しょうにそくかんせつねんざ)

この症状について

子供の場合は骨化が完成していないため、靭帯の断裂はまれで、靭帯の付着部の裂離骨折を伴う場合が多いです。骨折では不安定性や疼痛が残存する場合もあるため、ギプス固定を行い、骨癒合を目指します。

この疾患の原因と状態の説明

子供の場合は骨端線(成長線)があり、骨化が完成していないため、靭帯の実質部断裂はまれで、骨端線が損傷する場合や靭帯の付着部に裂離骨片や軟骨の裂離を伴う場合があります。

裂離骨片が遺残して、足関節にゆるみが残ることもあります。足関節にゆるみが残ると,青年期に足関節不安定症の症状を呈し,最終的に変形性足関節症になることが多いと考えられています。

この疾患の症状と診断

以下の症状が見られた場合、小児の足関節捻挫と診断されます。

足関節をうちがえしに捻ったエピソードがある。
外くるぶしの直上や前方、下方に腫れと痛みかがある。
足首をうちがえしや前方に捻ると、不安感と痛みがある。

損傷した場所により、外くるぶしの直上や前方、下方に痛みが起こります。痛みで体重がかけられなかったり、腫れが強かったり、皮下出血が多い場合は重傷の可能性があり注意が必要です。

レントゲンで正面、側面像と内旋斜位像などで捻挫に合併して骨折や足関節外果の骨端線損傷や裂離骨片があるか確認します。レントゲンで骨折が明らかでないときは,MRIやエコーで検査します。特にエコーは,裂離骨片の検索に簡便で強力な診断ツールとなります。

この疾患の治療方法

-応急処置-

受傷直後、現場では、RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)処置を行います。

-保存療法(非手術療法)-

初回の捻挫、腫脹や皮下出血で強い場合、痛みのため体重がかけられない場合は、ギプス固定を 3-4 週間行います。
新鮮な裂離骨片がある場合、骨癒合が得られないと不安定性や疼痛が残存する場合もあるため、固定期間を長めにして、骨癒合を目指すこともあります。
固定除去後は、サポーターなどで保護し、関節可動域訓練、捻挫予防の運動療法を行います。

-手術療法-

足首のゆるみが強い場合、新鮮な剥離骨片かが大きく離れている場合には、手術を行う場合もあります。