有痛性三角骨(ゆうつうせいさんかくこつ)

この症状について

外くるぶしの後方、アキレス腱前方に痛みがあり、足関節を底屈すると強い痛みを感じます。クラシックバレエやサッカーなど足関節を底屈するスポーツで多く見られ、繰り返す微小外傷により徐々に症状が出現する事が多いです。

この疾患の原因と状態の説明

三角骨は距骨後突起の後方に位置する過剰骨のひとつであり、健常者での出現率は約10%とされています(図1)。約2/3が片側性と言われています。

三角骨ができる原因として、
1 骨化核の癒合不全の状態に陥り過剰骨となったもの
2 距骨後突起の外側結節が骨折を起こし偽関節となったもの
などが考えられています。

過度の底屈により三角骨または巨大な後突起が脛骨と踵骨の間に挟まれる事で疼痛が誘発されます(図2)。

足関節後方インピンジメント症候群の一つの原因とされています。
インピンジメントとは関節の動きにより滑膜などの軟部組織や出っ張った骨などが挟まり込んで痛みを起こすことを言います。

この疾患の症状と診断

外果の後方、アキレス腱前方に疼痛を訴え、同部に圧痛を認めます。足関節を底屈すると痛みを感じます。

スポーツ種目ではクラシックバレエでのポアント肢位やサッカーでのキック動作など過度の足関節底屈が強制され疼痛を訴える事が多いです。

臨床症状とレントゲンで距骨後方に三角骨または大きな後突起が証明されれば三角骨障害の可能性は高いと言えます。
局所麻酔薬の患部への注入により疼痛が消失すれば確定診断の大きな手段となります(キシロカインテスト)。
MRIでは三角骨周囲の血管に富む滑膜の増生像や長母趾屈筋腱の腱鞘炎を示唆する像が見られます(図3)。

この疾患の治療方法

-保存治療-

①足関節の底屈を制限するサポーター
②薬物治療 局所麻酔薬とステロイド薬の局所注入
③スポーツ活動の中止や制限
クラシックバレエやサッカーなど繰り返し底屈が強制されるスポーツ傷害では、保存治療の効果は得られず手術が必要となる症例が多いです。

-手術治療-

当院では内視鏡下を使用しての低侵襲な摘出術を行っています(図4)。術後はギプス固定や荷重制限は不要です。早期のスポーツの復帰が可能な優れた方法です。