足底腱膜炎(そくていけんまくえん)

この症状について

足底筋膜炎は、繰り返しの負荷がかかることにより、足底筋膜とかかとの骨との付着部に微小外傷や変性が起きることで痛みが生じる、腱・靭帯付着部症のひとつです。

この疾患の原因と状態の説明

足底腱膜と踵の骨が付着する部位(付着部)には、強い牽引力(引っ張る力)とともに、着地時の荷重による衝撃(圧迫力)の両方が加わることで、過大な負荷が集中します。

そのため長時間の立ち仕事や歩行、体重増加、靴の不適合、スポーツ(ランニングやジャンプなど)による使い過ぎが主な原因と考えられます。

初期には足底腱膜とかかとの骨との付着部に微小外傷があらわれます、進行にともなって、石灰化、骨化といった変化が見られるようになり、レントゲン像で、骨棘(骨のトゲ)がみられることもあります。

この疾患の症状と診断

長時間の立ち仕事や歩行により、かかとの内側前方に痛みが出ます。階段を上る際や、つま先立ちなどで痛みがさらに増します。

中年女性に多く、朝、起床して最初の1歩目に痛みを感じます。歩くうちに徐々に軽減し、夕方になって歩行量が増えるに従い、再び痛みが強くなってきます。

同様の症状は、スポーツ活動の際にも見られます。ランニングなどの開始時は痛みを強く感じますが、運動を続けるうちに徐々に軽快し、長時間になると再び痛みが強くなってきます。スポーツ選手では、運動量の増加やトレーニング内容の変更を契機として発症することが多くあります。

足底腱膜の付着部であるかかとの内側に著名な圧痛を認める以外は臨床症状に乏しく、腫脹・発赤・熱感などの炎症症状はほとんど見られません。

以下の症状が認められた場合、足底腱膜炎と診断されます。

・足底腱膜とかかとの骨の付着部周囲に圧痛(押さえたときの痛み) がある。
・長時間の立位、歩行、走行、歩行開始のいずれかのときに、足底腱 膜とかかとの骨の付着部周囲に疼痛があらわれる。
・神経の圧迫や障害(足根管症候群等)、筋・腱の分断裂(後脛骨筋 腱機能不全症等)、反射性交感神経萎縮症(RDS)、足底腱膜線 維腫症等は除外する。

このように除外診断が重要なので、正しい医療機関(整形外科)にキチンと受診して診断を受けることが重要です。 レントゲンでかかとに骨棘が認めれれることがありますが、診断の決め手にはなりません。MRIは除外診断に有効で、足底腱膜の肥厚と信号変化が観察される症例もあります。

この疾患の治療方法

大多数は保存的治療で軽快します。痛みのために十分なスポーツパフォーマンスが不可能な時や痛みが強い場合には体外衝撃波疼痛治療などの適応となります。

-保存治療-

アキレス腱(腓腹筋)のストレッチ
靴・インソールによる痛みのコントロール
薬物治療
スポーツ活動の中止や制限

-体外衝撃波治療-

体外衝撃波治療は(extracorporeal shock wave therapy : ESWT)は難治性足底筋膜炎に対して保険適応があります。
当クリニックはディオリスSD1が導入されており、体外衝撃波に疼痛治療が可能です。

-手術治療-

腓腹筋の硬さが原因の場合には、腓腹筋を若干伸ばす手術で軽快することが多いです。