外反母趾(がいはんぼし)

この症状について

外反母趾は進行性の病気のため、経過と共に徐々に悪化し、高齢になるほど変形の程度は強くなります。外反母趾の変形の治療は手術によってのみ可能ですが、痛みはインソールや外反母趾パッドを着用することで軽減できます。

この疾患の原因と状態の説明

外反母趾は足の母趾(Ⅰ趾、親ゆび)が外側に曲がった状態を指します。

外反母趾の発生率は、全人口の2~4%で、65 歳以上が占める人口の5.5%です。外反母趾の95%は女性です。外反母趾は進行性の病気のため、時間の経過と共に徐々に悪化します。すなわち高齢になるほど変形の程度は強くなる傾向にあります。

この疾患の症状と診断

母趾はまっすぐに伸びているのが本来の形ですが、外反母趾では、Ⅱ趾(人差しゆび)の方に曲がっていたり、付け根の骨が外に突き出ていたりします。

外反母趾はその曲がっている角度により重症度が判断されます。

また外反母趾は骨の変形以外に、母趾の関節(第1中足趾節間関節、MTP関節)部分が赤く腫れ、痛みを伴い、早急な治療が必要な方もいます。外反母趾の方の多くは胼胝や陥入爪も合併していることがあります。

この疾患の治療方法

外反母趾の変形の治療は手術によってのみ可能です。しかし、幅の広い靴や、第1 中足骨と第2 中足骨の間に足底挿板やスペーサーを着用することで症状や疼痛を軽減することができます。これらのオプションは外反母趾の初期で用いられ、進行を遅らせます。

手術の決断は変形の強さではなく、疼痛の程度や不都合さによります。

非手術的治療 ~痛みのコントロール~

①靴のアセスメントとアドバイス
②外反母趾パット
 母趾の付け根部分の突き出た骨が靴にあたって痛む場合は、外反母趾パッドなどで靴との摩擦・圧を低減します。
③薬物療法
 炎症に対する薬物療法や関節炎に対してはステロイドの関節腔内注射を行います。
⑤インソール
 効果は限定的ですが、一つの方法として使用することもあります。
 当院では、足の圧力分布を『フットナビ』で測定し、データをもとに、その人の足に合ったインソールを作成しています。

手術的治療 ~変形の矯正と痛みのコントロール~

変形が気になる場合や非手術的治療で痛みのコントロールが上手くいかない場合は手術を行います。手術方法は病態によって異なりますが、入院期間は1~2週間程度必要です。

当院では、適応が合致すれば骨を切らない新しいコンセプトの外反母趾手術を行っています。骨を嫌いないので術後の痛みが少なく、歩行の回復が早いという利点があります。